幸福感とともに悩みや苦しみを伴う愛。その姿をきめ細やかに演じるヒロインたちに、プライベートと映画、それぞれのラブ・ストーリーを
語ってもらった。
子供を持って、生きることが楽になった。いまが幸せなの。
思わず見入ってしまうほど透けるように白い肌、少女のときのままの細長い
手足。共演がきっかけで恋に落ちたイヴァン・アタルとの間に愛息ベンが誕生してから少しの間スクリーンから遠ざかっていたシャルロット
だが、母となってもその可憐さは少しも失われていない。永遠の妖精という言葉がまさにぴったり。だが、いつまでも『なまいきシャルロット』
や『小さな泥棒』の頃の面影を追いかけ続けるファンに、28歳となったシャルロットは、ちょっといなすような微笑を投げかける。
「みんなが私に抱くイメージって、物静かで内向的っていう感じみたいね。反対にルーは奔放で明るくて」
そう、異父姉妹の妹ルー・ドワイヨンが燦燦と照りつける太陽だとすれば、シャルロットは、青い光でそっと語りかける月のようだ。
「でも、本当はちょっと違う。強さと脆さということでいったら、ルーよりも私のほうがタフかもしれない。もちろん、シャイなところもあるけれど、
私生活の中では、私だって過激に感情を爆発させたりすることだってあるし」
私には家庭が必要だった。そんなイメージを払拭したいのだろう。シャルロットは、出産後復帰してからというもの、『ブッシュ・ド・ノエル』では
革ジャン姿でバイクを飛ばすアグレッシブな娘を演じ、念願のパトリス・ルコント作品『フェリックスとローラ(仮題)』では、ミステリアスな少女
ローラ、と新しい役柄に次々に挑戦しているように思える。
「矛盾しているようだけれど、家庭を大事にしたいと思う反面、仕事に、前以上に意欲が沸いてきたのも確か。きっと安定したからね。10代の
頃からずっと子供が欲しかった。実際にベンが生まれて人生が変わったわ。自分に素直になれ、生きることが楽になった。家庭を持つことは、
私に必要なことだったのね。いまがものすごく幸せなの」
人気スター同士の結婚は、華やかな反面脆さもある。有名人カップルの両親を見て育ったせいか、シャルロットは、自分を守ることにとても慎重
だ。 「私はとっても父と仲がよかったし、両親は幸福だったと思う。母の生き方を誇りに思うけれど、愛に対する姿勢は、私とはまるっきり違うと思
う。私が私生活のことをあまりしゃべらないのは、口に出すと幸福が消えていってしまいそうで怖いからよ。毎日、この幸せが長く続きますようにっ
ておまじないをしているくらい!」
奔放な恋愛を重ねた母の生き様を最も近くで見守ってきたシャルロットが選んだ愛の道は、つつましくも健気だ。自らの本当の人生を歩み始めた
可憐な妖精は、女優としてもひとりの女としても艶やかな華を咲かせるだろう。
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