「撮影に入る前にイヴァンに言われたのは、前作はあえてコメディタッチを出す必要があったけど、今回は
私自身に近い役だからことさら役作りする必要はない、ってことだったわ」
夫イヴァン・アタルの第一回監督作「ぼくの妻はシャルロット・ゲンズブール」に続いて、彼女がイヴァンの
監督、そして共演で主演している「フレンチなしあわせのみつけ方」。スター女優を演じた前作とは異なり、
ここでのシャルロットの役は、パリの不動産屋に勤める子持ちのキャリア主婦だ。
「イヴァンが監督するということは、これは彼の映画ということよね。私は協力する立場。なのに前回は
素直にその力関係を受け入れられず、彼の言う事に一々反論していたわ。バカみたいに。でも、作ってみ
た経験から、今度は映画監督としての彼のことをより信頼できるようになった。それに、ガブリエルという
役柄こそ私自身にさほど遠くないかもしれないけど、幸いこの夫婦の抱えている問題と私、無縁だと思っ
てるから(笑)、演技と割り切れた。何しろ夫婦ゲンカのシーンが一番スカッとしたくらいで(笑)」
これまで、「タイトルは明かせない」ある1本の映画以外は、イヴァンと映画の好き嫌いも同じという。
「彼と知り合ったことで知った映画も多いの。私の趣味が変わったというんじゃなくて、気づかなかった
作品に目を見開かせてくれたというのかな。特に70年代のアメリカ映画「狼たちの午後」とか「ゴッド
ファーザー」のパートU、Vとか。そうそう、北野武監督の映画が好きで、彼が出演をオファーしてくれ
たら何が何でも駆けつけるというところも、私たち、一緒よ(笑)」
母ジェーン・バーキンの「シャルロットがイヴァンと出会ってくれて神に感謝した」という言葉、大納得だ。
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